九州大学加速器・ビーム応用科学センター

本センターについて

センターの概要、設置目的など

加速器・ビーム応用科学センター (CABAS) は、本学の伊都キャンパスへの移転を契機に、学内共同利用施設として「量子ビームを安定的に供給し、量子ビームの利用者に対する教育研究上の支援及び安全教育を行うとともに、加速器及び量子ビームに係る研究開発を行うこと」を目的として設立されました。本センターでは量子ビームを軸足に

  • 加速イオン、ガンマ線その他の量子ビームの供給
  • 量子ビームを利用した基礎研究及び応用研究の支援
  • 加速器開発並びにビーム利用の手法及び応用技術の研究
  • 量子ビームの利用者に対する安全確保及び安全教育

などを推進しています。

基幹装置としてFFA加速器、タンデム加速器、コバルト60ガンマ線照射装置の3つの設備を有しています。まず、コバルト60ガンマ線照射装置については導入して以来、共同利用に供しており、学内のみならず学外の方にもご活用頂いています。

タンデム加速器はFFA加速器への入射器として導入されましたが単独でも利用可能であり、教育・研究に利用されています。また、超重元素研究センター (RCSHE) の発足に伴い、超重元素実験用検出器の開発を主目的とするビームラインの増設も進行中です。本センターの量子ビームを活用して開発された検出器が、理化学研究所で国際共同研究として実施している新元素探索実験に用いられるなど、国際共同研究にも貢献しています。また、検出器開発のみならず、逆運動学α非弾性散乱測定による宇宙核物理の研究など、基礎物理の側面でも理学研究院の学士・修士の教育に大きく寄与しています。さらに、大学院のみならず、理学部・物理学科の3年学生実験を受け入れています。全国的に見ても、加速器の量子ビームを用いた実験を「全員」行えるのは本学だけの際だった特徴であり、日本加速器学会等でも高く評価頂いています。

FFA加速器は、そのビーム利用に向けたビーム調整と並行して、加速器の性能向上を向けた加速器要素技術の研究開発が進められています。これまで多くの卒業論文・修士論文が提出され、加速器科学教育に成果を上げています。また、エミッタンス回復内部標的法の原理実証に京都大学との共同研究により成功しています。現在、FFA加速器からのビーム利用に向けた機器整備が進行中です。

センター長より

加速器・原⼦核科学研究センター (CABAS) は、本学の伊都キャンパスへの移転を契機に、量子ビームを用いた研究・教育の拠点(学内共同利用施設)として2007年に設立されました。「センターの概要」にある通り、基幹装置としてFFA加速器、タンデム加速器、コバルト60ガンマ線照射装置の3つの設備を有しており、加速器及び量子ビームに係る教育や基礎・応用研究を推進しています。

2022年は本センターにとって節目の1年でした。まず第19回日本加速器学会年会を共催いたしました。残念ながらコロナの第7波の影響により、当初8月に予定していた北九州での現地開催は中止となりましたが、10月にオンラインにて開催することができました。加速器学会の組織委員会・実行委員会の活動を通して、本センターが広く加速器科学分野に周知されると共に、総合講演「九州大学における素粒子・原子核研究と加速器科学」において本センターを活用した学部学生教育に高い評価を頂きました。研究面では、12月にタンデム加速器からFFA加速器へのビーム入射ラインのコミッショニングが無事完了し、2023年初頭のFFA加速器を用いた重イオンの周回・加速を工学研究院・理学研究院共同で目指しています。

また、2023年にはビームラインを整備し、FFA加速器からの量子ビームの利用も目指しています。総合理工学研究院等との共同研究により、FFA加速器からの高エネルギー量子ビームによる核データの充実や、放射線検出器の開発・計測技術の開拓が進むことが期待されます。

CABASの発展は、CABAS構成員の努力とともに、学内外の利用者の皆様の努力、関わって下さっているすべての皆様のご協力の上に成り立っています。電気代の高騰やコロナ感染症対策など不透明な状況が続いていますが、真摯に量子ビームを用いた研究・教育を推進したいと考えますので、よろしくお願い申し上げます。

加速器・ビーム応用科学センター センター長
若狭 智嗣

Member list

氏名所属
センター長若狭智嗣​​理学研究院
池田伸夫工学研究院
渡辺賢一工学研究院
渡辺幸信総合理工学研究院
市川雄一理学研究院
魚住裕介工学研究院
岡部弘高工学研究院
金政浩総合理工学研究院
坂口聡志理学研究院
寺西高理学研究院
納冨昭弘医学研究院
橋爪健一総合理工学研究院
有馬秀彦工学研究院
執行信寛工学研究院
西畑洸希理学研究院
米村祐次郎工学研究院

施設見学

施設の見学をご希望の方は下記へご連絡ください。
※メールを送信の際は[at]を@に変更をお願いします。

タンデム加速器 tandem[at]cabas.kyushu-u.ac.jp
FFAG加速器 ffag[at]cabas.kyushu-u.ac.jp
コバルト60ガンマ線照射装置 cobalt[at]cabas.kyushu-u.ac.jp

見学の実績

2022年12月 タンデム加速器見学。京築未来の地域リーダー育成プログラム(福岡県と京築地域の自治体主体)の研修として。中学生18名、県・自治体関係者11名、大学関係者9名。
2022年12月 タンデム加速器・FFA加速器見学。東北大、東工大、大阪大学の研究者3名
2022年11月 タンデム加速器・FFA加速器見学。東大CNS、大阪大学の研究者2名。
2022年11月 タンデム加速器・FFA加速器見学。理化学研究所の研究者1名。
2022年11月 タンデム加速器・FFA加速器見学 。九州大学理学部3年の授業「高エネルギー・原子核実験学」における施設見学。学生15名。
2022年4月 タンデム加速器見学。理学部物理学科新入生オリエンテーション。学生65名。